6/10、時の記念日ーー

  今日、また久々にワクワクするようなことがあった。
「ワクワクする」とは、私の場合、何といっても、「創造のよろこび」に関係することである。
年に二回、七月と一月は源泉税納税の季節である。そのときには、税理士先生に来ていただく。
今年は、六月末から七月初旬まで海外旅行が入っているため、あまり余裕がない。先生に連絡して、期日を選んでもらったところ、6/24(月)1400にしましょうということになった。
とすると、それまでに、上半期の決算業務を終わらなければならない。源泉関係だけを拾ってもいいのだが、私は変人だから、そんな部分的な要領のよさで逃げきるのが性に合わない。この機会に、きちんと1~6月の決算をし、その中から源泉関係の預かり金(419)を体系的に引っ張り出さないと、気が済まないのである。性分なのだ。

気になる木?

  ところで、今回の月次決算に関して、気になる点が一つだけあった。それは、二月ごろから通知が来て、D生命はこのたび株式会社に組織替えするから、今までの保険金(出資金)と引き換えに株を渡すという。で、ユーザーはこの株を保有してもいいし、即売却しても差し支えない、というのである。--今だからこう簡単に説明出来るが、突然妙な通知を受け取ったときには、面倒くさいばかりで、何を言っているのか、分かろうとも思わなかった。
ところが、四月、突如として、ある程度の金が会社に入金された。となると、よく分からんで済む問題ではない。即、保険会社に電話で聞いてみると、「きちんとした経理処理のお知らせが行くからご心配なく」という。なるほど、一週間もすると、それの説明書が届き、仕訳の例が書いてあった。(四月下旬)さて、今日は6月10日、時の記念日--。1月、2月、3月、、とひと月ずつ月次決算を順調にあげて行き、いよいよ問題の「4月」にさしかかった。これは大問題である。在来の西研のマトリックスには納まらない。こんな仕訳には初めてお目にかかる。
西研マトリックスには、幸か不幸か、「有価証券」なる項目取引がこれまでなかった。ところが、今回は明確に、
①株式/雑益、②現金・株式売却損/株式、③現金/雑益(端株処理)
の発生だ。在来のままのマトリックスでは対応しない。

プログラムをいじる

 上記①~③の仕訳だけは、通知にやり方が具体的に書いてあったおかげで私にも出来た。(なかったら、出来なかった。)
したがって、預金通帳の仕訳の段階では問題ない。問題は、マトリックスのプログラムを走らせる時だ。これまでのものを、二か所ほど、いじる必要がある。 一つは、「辞書」のところである。
西式マイツール/マトリックスは、昭和58年(1983)正月に始まった。
当時は、まだPIPS2が出来て間もないころだったから、始まりは「PIPS2」だった。(マトリックス会計そのものは、昭和51年に開発が完成して、MG用に使っていた。)
翌84年からマイツール/マトリックスである。もう19年もこれ一本でやってきたことになる!
その構造は、MGを知っている人には、簡単である。
① 第1表資金繰り表の、科目ごとの集計(S、TC)
② 会計事務所の科目コードを、26*26のマトリックス会計システムコードに書き直すための辞書。(UPD)
③ MXコードになったものを「TM」で表の形に展開し、最後に「ワルツ」で集計する。
この②と③が「有価証券等」に対応していないのを対応させるだけの話。

まず、第一回

 辞書をちょっと書き換えて、試しに強引にRUNドンしてみる。
マトリックスは出来たが、方々に問題がある。まず、有価証券を保険会社からもらったのに、なぜかマトリックス表(一覧表)上に現れていない。それを売却して、入金と売却損が発生したところだけが、期待した通りのところに正しく表現されている。
よく調べたところ、やはり辞書の中のコーディングに誤り・勘違いがあるみたいだ。これを直して、さぁ、第二回のRUNドンだ。
さてさて今度は、ともかくも期待した場所に、株と端株を取得したことが、きれいに表現された。

そこで三回目

 三度目の正直だ。上でほぼ完成したので、今度は、MXの項目名を仮に使っていた「貸し倒れ引当金」から、正式に「有価証券」に書き換えてみよう。(どうせ株などは、取得して即売りだから、また空欄になるだけだが、、。)
こうして、三回目のRUNドンで、見事に、一見難しそうな株の取得とその売却は私のマトリックス会計システムのなかに組み込まれた。思えば、19年間、このシステムをやってくるなかで、たえず新しい問題にぶつかるごとに、このシステムを一部書き換え、手直ししては正しく対応してきた。
最初の十年は、必ず夏か秋ごろに新しい事態が現れたりして、MXを書き換えたものだった。最近では安定して、あまり書き換えることもなかったが、久々のそれというわけである。


(数字は、モデルです。)

何が言いたいか?

 マトリックスほど良いものはない、ということである。かつ、マイツールほど良いソフトもない。この最高の会計システムと、最高のソフトの掛け合わせほど素晴らしいものもない!! (^_^;
古色蒼然たる右左会計は難解なだけだが、これにわずかにマトリックスの一表を付加するだけで、私のような門外漢でも、このとおり、まるでプロであるかのように、新しい局面にも対応して行けるのだ。それにしても、「簿記3級」だけは、やっておいたほうが良いだろう。完全にMGの範囲内だけでは、今回のようなときに、慌てずに対応出来るかどうか、、。
さいわいマトリックスならば、全体のなかから部分を考えるために、大抵のことは素人でも対処出来るのだが、やはりMGを50期、100期やったら、次は簿記3級に挑戦しないと本物にならず、今日のように落ち着いてシステムを手直しすることが出来ないのではないか?

最後に

 私が昭和58年に開発したこの「マイツール/マトリックス会計システム」だが、これを全くの一般人用としてPRしないのは、簿記の知識がない人にまで、この方式でやれるとは思わないからだ。やはり西式は、ある程度の基礎や素養があって初めて使いこなせるMXソフトなのである。

(KK西研究所・所長 西 順一郎)