経理学校に行く

一月ほど前、浜松町の大きな本屋をぶらついていると、安生浩太郎著『ANJOのしくみ』(レゾナンス、1800円)という本が、経理の本の特集平積みの中にある。
そのときには買わず、しかし帰ってからどうも気になるので、次回はまっすぐその本のところへ買いに行った。とても読みやすい本で、それなりに面白かったので、一晩でさっと読み上げた。
著者の安生くんという人は、1965年生まれの35歳。88年慶応経済卒。いったんは野村證券の経理部に入ったが、一年半でやめて、CPA取得へ。自分のCPA受験体験をもとに、95年(株)ANJOインターナショナルを設立。
なぜこの本を買ったかと言うと、春ごろ盛んに、毎週のように日経新聞に大きな広告を出して、大丈夫かなと思っていたこの企業の社長が、まだ35歳の若さで、野心・エネルギーに満ちあふれている。そのエネルギーの分け前に預かろうと思って買ったのだが、読んだ結果は、見事にミイラ取りがミイラになって、よしこの学校に通ってみようという気になってしまった。
翌朝、即この学校に電話をして、資料を送ってもらった。ビデオが二巻入っていたが、そんなものは見ない。いろいろ考えて、一月~三月まで、「英文会計入門コース」が15回にわたり行われる。これが良いと思って、19日新橋駅前にあるその学校に申し込みに行った。すると受付嬢が、「ちょうど、今夜七時から、ここでCPA講座の無料説明会があるから、出てみないか。それからでも遅くはないでしょう」というので、一旦わが家に帰り、夜ふたたび出直した。
この説明会がなかなか良かった。
担当は、No.2の副社長、紺野 卓さん。パワーポイントを駆使して、きっちり二時間にわたり、実に要領よく説明していく。聴衆は20名ほど、すべて20~30代の男女。60代は私だけ。五年前のグロービスの時をを思い出す。あのときも、58歳は僕だけだった。(^^;;
この結果、非常によく納得出来たので、即翌日12/20に、入学手続きに行った。
思えば、ソニー時代(昭和45~50)、会社の放課後、毎日のように、中央大学経理研究所とか、都内各所の経理学校に通ったが、今のほうが遥かに勉強しやすくなっている。

通信ビデオ会員に

さて、入学金一万円と、授業料五万円を払って、教材一式を抱えて帰宅したが、私の身分は、基本的には「通信ビデオ会員」である。前回の実際の授業の5回、10時間分をビデオで貰って、それを見ながら勉強するか、あるいは、希望なら「再受講」と称して、1/06から行われる教室に出席しても良い。
この「無制限再受講制度」というのがまたよく出来ていて、この学校は、同じ個所をビデオで何回見てもいいし、なんなら繰り返し好きなだけ無料で教室に出てもいいのである。この点は、MGではとても真似出来ないな、と思いながら、話を聞いて、さっそく再受講のための手続きを取った。
もう一つ、この学校は、モンタナの州立大学と提携していて、日本にいながら、向こうの大学の「単位」が取れるのである。これが面白い。ずっと増やしていくと、アメリカの公認会計士(CPA)の受験資格が取れる仕組みである。もちろん、最後は、何州かに実際に受験に行くのであるが、、。
私の場合は、基礎の勉強を英語でしなおすのと、世界で最もキビシイと言われるアメリカの会計基準に触れるのと、もう一つは、忙しい中で、この新しいスクールに出席することにより、新時代の教育のノウハウを探ることが目的であるから、単位はいいかと思って断わってきたが、いままた(まぁ、取れるものなら二単位ぐらい取ってみるのも面白いか)と思い直したりしている。

ビデオテレビを買う

さてこの学校の「基礎会計」のコースは、おおむね土曜日に設定されているため、私はほとんどが仕事とぶつかっている。そのために「ビデオ会員」を選んだわけだが、実はわが家にはビデオがない。いや一台あるにはあるのだが、それが居間にあるため、家族の生活とぶつかって、毎日二時間も見るわけにはいかない。
以前から、自分用にテレビが一台必要だと思っていたので、これを機会に、テレビを一台買って、居間からビデオだけを外して、事務所に持って行き、そこで勉強することにした。
最初は、いま出始めのシャープの明るい小さな液晶テレビでも、と思っていたが、いや、同じ買うなら、DVDプレーヤーのほうが将来性があるか、とか、いろいろ考えたすえ、今は年末、毎日のように新聞には、大型電気店、ディスカウントストアなどの折り込み広告が入っている。
そこに14型のビデオテレビが22800円とか24800円ぐらいで、いくらでも並んでいる。特に某社のビデオテレビH5型は、どの店の広告にも載っている。よし、これがいいか、これならぐんと経済的だし、と納得したので、さっそく昨日の夕方、二三の店を巡回してみた。
行ってみた結果は、上記のマシンは、いかにも貧相なものであった。品質が悪い。すぐとなりに、同じ22800で、ソニーの14型トリニトロンTVがあるではないか。それはもう、画面がぜんぜん比較にならない!
うーん、と考え込んで、ここはビデオテレビはやめて、このTVを買い、わが家のビデオと組み合わせるか、と考えたので、急拠わが家に帰り、うちのビデオに学校のテープを突っ込んで見た。駄目、音がとぎれる。
何しろ古いので、このマシンは、このくせがあるのを忘れていた。そこで持ち帰ったソニーのWEGAのカタログをあらためてめくってみると、ソニーにも14型のトリニトロン・ビデオテレビが二機種ほどある。
ところが、値段が最近は困ったことに「オープン価格」だから、高いのか安いのか、どれだけの開きがあるのか、まったく掴めない。
先ほどの粗悪品なら24800ぐらいだが、ソニーのトリニトロンともなればさぞ高いだろう、五万円か、WEGAともなれば七万円ぐらいかも、、、と思いながら、先ほどのLaOXに行く。
店員を捕まえ、「これはいくらになりますか?」と聞くと、「あ、それはここにありますよ!」なるほど、先ほどは気が付かなかったが、実は同じ棚に、ちゃんとデモ機が並んでいて、39800と書いてあるではないか! 安い。
ちゃんとしたトリニトロンが、しかもWEGAの最新型で、わずか三万円台でビデオ付きで手に入るんですよ!
今は安い! たしか、昭和43年に、僕がソニーの秘書のころ、このトリニトロンの13型の新発明品を発表したころには、13万8000円だった。それがいまや10万円も安く、しかもビデオ付きで最新型! しかも、これだけの品質のものが、他社の二倍もしないのだ! 私は、あれこれ迷うことなく、即「これ買います!」と、台車を借りて、わが家に持って帰った。

テープ教材も良い

夜、さっそくセットして、学校のテープを入れてみると、もちろん音飛びもなく、先ほどわが家の古ビデオにも出てきた西田晴子講師が、今度はさっそうとパワーポイントで説明して行く。画面は全部英語。説明は日本語。これは良い!
しかも、PPTによるスクリーンは意外と明瞭だ。
これは無理して、学校に通うまでもないや。
教科書はむだなくよく出来ているし、テープは授業の実況が明確に取れている、臨場感も結構ある!
よし、これでがんばろう! とやる気になった年末の一日でした。年初になったら、学校にも行くことは行きますが、、、。

(KK西研究所・所長 西 順一郎)