日経プラス1

 私は日経新聞が大好きで、中でも土曜日の「ニッケイ・プラス1」が楽しみだ。ホテルに泊まるときも、かならず日経を指定する。ところが、堺のRホテルに行くと、土曜日なのに本紙だけしか入ってこない。いつ行ってもそうなので、あるときとうとうフロントに文句を言った。答は、このホテルでは、プラス1は持ってこさせないことにしている、ということだった。本当かな? おかしいな。

プラス1では、S13ページの山根一真の「デジタルスパイス」と、その対向面のY電機の広告を見るのが面白い。第一面の「何でもランキング」も面白いし、参考になる。先月などは「ネオ一眼」(高倍率望遠デジカメ)ベストテンが取り上げられ、ちょうど買いたいと思っていたところだったので、ジャストミートで参考になった

感心しない「お勧め品」

最近号(2006.0114)では、「女性がよく飲むチルドコーヒー」というテーマで、M乳業のマウントレーニア・カフェラテがダントツのトップになっていた。しかも、一位から三位まで、全部M乳業の独占である。

コップスタイルのコーヒーやカフェラテが最近コンビニでよく売れているといううわさは聞いていたが、私は横目では見てもまず買わない。缶コーヒーで、ジョージア・ヨーロピアンブレンド(微糖)が「許せる」と思っている。それ以外は、どれもこれも一般に甘すぎて駄目。最近では、ネスカフェのPETボトル入りのコーヒーをJTBの景品でもらったのが、美味しくて感心した。

それにしても、上記一位から三位まで独占というのはただ事ではない。しかも一位は1000票中786票を集めて、ぶっちぎりのトップである。そうなると、これはやはり買って試すしかあるまい。早速、近くのセブンイレブンまで走っていき、一個買ってきた。飲んでみると大したことない。え、こんなのがトップなの? という感じ。またしても、新聞に裏切られた感じだ。

カメラのときもそうだった

そういえば、上記「ネオ一眼」のときも、トップはP社のFZ5で、超軽くて12倍ズーム。値段も安い。初めは私もこれを本命にしようと、実機に触ったりカタログを集めたり、いろいろしたのだが、幸い近くにこれを使っている人がいて、僕はその人に、実際に紙に焼いてきてもらった。それが緑っぽい発色だったので、過去のさまざまな苦い体験をいっぺんに思い出して、没にした。

はるか以前の話だが、フィルムカメラの時代に、私はミノルタか何かを持っていた。たまたまパラオMGに行ったときに、水戸のT氏が、なかなか良い色を出すカメラを持っている。
「それはどこのですか?」
「キャノンのオートボーイですよ」
私は自分のカメラが、なんとなく黄色っぽく、また緑っぽい色を出すのが気になっていたので、帰国すると即オートボーイに買い換えた。以後ずっと、カメラはオートボーイ一本だった。

さてデジカメの時代が来て、あるとき家内用に、某社の超軽量デジカメを買ってあげたが、北海道のとある大学に行ったとき、室内で人物を写したところ、壁や顔色が緑っぽかったので、がっくり来た。

鵜呑みにしない

何が言いたいかというと、要するに、人の言うことをそっくり信じてはいけない、自分の五感を信じなさいということである。

今回、先述の堺市のR高級ホテルにまたもや来ていて、昨夜コーヒーを飲もうと部屋の冷蔵庫を探したら、あるにはあったが、中身はがらんどうで何も入っていない。最近は、海外からの団体客を大量に受け入れるようになったので、部屋の冷蔵庫には何も入れないように変えたらしい。コーヒーセットも、ホームバーセットも何もない。

そういえば、案内のボーイが、さきほど部屋に来たときに、「フロアの奥のほうに自動販売機があります」とひとこと言ったなぁと思い出した。しかたなく寝巻きのまま買いにいったら、たまたまカルピスの「備長炭焙煎珈琲」というのが置いてあって、しょうがないからそれを買って来たが、これがどうして大当たり。

名作よ永遠なれ

酒もコーヒーも、どうしてこんなに沢山銘柄があるのに、すべて似たり寄ったりで、美味しいのがないのだろうか? 昨日も、とある居酒屋に行って、何を飲もうかと言うときに、いつも楽しみにしている和歌山の羅生門が今回は置いてない。困ったが、よくよく見たら、幸い石川県の銘柄が一つだけ混じっている。「うん、石川県とあれば間違いあるまい」と発注したが、やはり美味しかった。

私に限ってかもしれないが、北陸三県の酒が薄くて、スッキリしていて一番合う。我が家では、酒が切れると、すぐ近所に酒屋が二軒あるにもかかわらず、わざわざ片道数分歩いて、けっこう遠い酒屋まで「銀嶺立山」(富山県礪波市)を買いに行く。四合瓶一本で十日はもつ。一本1000円だが、これを持って帰るとき、しみじみと幸せ感に浸ることが出来る。

今まで買った中で、いつまでも不満がなく、幸せ感があるのは、キャノンの小型レーザーモノクロプリンター1110と、ボーズの小型卓上スピーカーと、このマイツール、そしてニフタームの内蔵エディターだ。昔、シャープの名作ワープロ250、同じくポケコン1262がなくなったように、ニフタームもこの三月でなくなる。マイツールはなくならないでほしいものだ。

(KK西研究所・所長 西 順一郎)