秋葉原にて

一年ほど前から気になっていたのが、ポケコンの代替としての「プログラム電卓」。これを秋葉原で、数千円台で2台買って、西研の青チップにしようと考えていた。

いよいよそれを実行するために、11月3日、秋葉原へ行った。まずLAOXへ行ったが、PCばかりで、ポケコンなどはありそうもない。石丸本店に回ると、カシオはあるが、シャープは無い。まず、カシオを一台買ったが、もう一台どうしてもシャープ(EL-5120)を買わないと、研究にも比較にもならない。近くのシャープのアンテナ・ショップにも行ってみたが、やはりここにも置いていない。

最後の決め手は、駅横のラジオセンターの中だ。「つかさ無線」(03-3255-2889)に行くと、いくらでもたくさん並んでいた。そううつ型の人のよさそうなおばさんが店番をしていた。「シャープのEL-5120をください。」「あいよ」番台のすぐ後ろに何台かそれが積んであった。正価7800を5500円。(税込み5775円)。縦15センチ、横7.5センチ、名刺の1.5倍の大きさで、重さ77グラム。軽い。ヨシ、携帯性に問題なし。

なぜプログラム電卓なのか?

理由は二つある。

(1) シャープの名器PC-1262の後継機が出ないこと。出ないが、この機械ほど、よく出来た機械はほかに見当たらない。

シャープでもカシオでもどっちでもいいのだが、ポケコンの代わりがプログラム電卓で出来るものなら、これはオンの字だ。小さいし、軽いし、多分安いだろう。ということで、西研としては人に勧めるのが目的だから、まず予算枠を実売で「9900円以下」と決めた。

やりたいことは二つだけ

1980年以来23年間ポケコンを使ってきて、「ポケコンが良くて、電卓が悪い」のは、入力した数字が全部見えるか見えないか、という点である。うちのnoanoaあたりも、「電卓はこわい!」といってポケコンしか使わない。

ところが世の中は、ここでも間違っていて、ほとんど万人が万人、電卓ばかり。ポケコンのような、入力したアトが目でチェックできるものを使っている人はまずいない。MGのベテランで優秀な人、シニア出身者などに限られる。

で、毎日のように見ていると、出来の悪い人に限って、電卓しか持っていない。昨日も某県で見ていたら、特に計算が不得意な人が電卓で入力するのだが、入力のたびに結果が異なっている。結果が正しい人も、実は無理をしているのである。

ポケコンを使う人は、「省脳」に成功している。楽して儲かる。私の23年間でも、ポケコンしか使わないが、その用途は、99.99%電卓の代替物である。単なる計算である。

もう一つの用途

それは、「STRAC-1」プログラムである。「STRAC-1」は簡単だ。
P・V・Q・F・Gのうち四つを入れて、残る未知数一つを出す、というものだ。

私の用途は、なかなか「マトリックス決算表」が合わない問題ある人のチェックだ。縦横会計を順次電卓機能でチェックして行って、途中「VQ」(売上原価)まで正しいと分かったら、それから先はやおらポケコンのプログラムに移行する。

P=365/15個ドン
V=200/15個ドン
Q=15個ドン
F=22+36+48+13+・・・・・ドン
G=Xドン をやる。
これをやると、Fの計算が正しいか、Gまでの加減算が正しいかが一発で分かる。ここまで正しければ、あとは簡単だ。

ということで、この日シャープとカシオを各一台ずつ買って、翌日四国の徳島MGへ持っていった。機内でも、ホテルの朝食時にも、暇さえあれば取説の「プログラム」のところを読んで、プログラム電卓の特異性に慣れるようにした。

徳島MGは11/5~6だった。そして、11/6の夜、我が家に帰り着いてから、いよいよ本格的に入力した。

STRACプログラム

プログラムの骨子はポケコンと同じだが、ハウツーがチョイチョイと異なる。また、シャープの取説が笑わせる。
「この計算機のプログラミング言語は、他の多くのプログラミング言語と基本的な考え方は同じです。この説明書では、BASICやFORTRANなど、ある程度プログラミングの経験や知識を持っていることを前提に、説明しています。」(P.51)--いい意味で、ふざけている。

最初は、当然ポケコンどおりにやろうとして、とりあえず適当に入れていったが、案に相違して、ウンともスンとも言わない。そうだ、動けばいいんだし、ともかくまずもって、あのMGの決算チェックにさえ使えればいいんだからと、ポケコンプログラムの100%引き写しをあきらめ、骨と皮ばかりに圧縮する。要するに結果さえ出ればいい。そうやって完成させたのが「表1」である。簡単なプログラムだが、役立ちは無限。

このマシンのサイズは、奇しくもPC-1262とほとんど同サイズで、重量はやや軽い。トータルメモリー1211バイトのうち、まだ905バイト残っているから、差し引きわずか306バイト(25%)しか使っていない。

それでいて、「MGで使う入力方法」(答を入力するのでなく、データそのものを足したり割ったりして入力する)が可能なので、ニコニコだ。これが出来なくて、一般のパソコン並みに「答」を入力するのだったら、価値は半減する。

なお、今日11/7はC社の別のマシンを買いに行ったところ、とてもプログラムが難しくて、とっかかるにはチンプンカンプンだった。EL-5120は、従来のポケコンそっくりなので、私もナットク。

1262が手に入らずに困っている方、たったの5500円で問題解決ですよ。それにしても、シャープさんは、どうしてこんないいマシンがあることを「1262の代わりですよ!」と、こっそり私に教えてくれなかったのだろう。安いし、軽いし、素敵なマシンだ。ただし、電池のもちはどうかなァ?

(表1)プログラム01  STRAC

LABEL AA INPUT P
INPUT V INPUT Q
INPUT F M=P-V
P9=P*Q V9=V*Q
M9=M*Q G=M9-F
V1=V/P*100 F1=F/M9*100
Q0=F/M PRINT P
PRINT V PRINT M
PRINT Q PRINT P9
PRINT V9 PRINT M9
PRINT F PRINT G
PRINT”VR= PRINT V1
PRINT”FM= PRINT F1
PRINT Q0 GOTO AA
END

(注1)各PRINT文ごとに「WAIT」を付ければ流れません。
(注2)EL-5120は、1行1コマンドなので、入力の時には、左右左右の順に入れてください。

(KK西研究所・所長 西 順一郎)