8/28の夜だった。
猛暑の中、私は『人事屋が書いたCFの本』(ソーテック社)の最後の追い出しにかかっていた。

ただ、直前の8/04に、長岡トンボ繊維OA大会の夜、打ち上げの酒の席で、元松下経理部出身の佐藤雅栄くんから指摘された一言が、重くのしかかっていた。
「第5表MX会計表のcG(キャッシュG)計算は、あそこで止まってはいけない。もうちょっと、特損や投資などを付け足すことで、キャッシュの増減と合うようになるのだから、もう一押し行くべきだ。」
(ウーム、そうは言っても、本の締め切りはとっくに来ているわけだし、出版予定は一年も過ぎている。版元さんからは、八月いっぱいで校了と圧力がかかっているし、今回はこれで見切り発車やむを得ないか。新開発となると、少なくともまた数か月、おそらくは年内いっぱいはかかるだろうから、、)
毎日、何かしら、重苦しい。
ところが、解決は、ひょんなときに来た。
本一冊「校了」にするために、その夜も、必死になって校正作業を続けていた。
折も折、(ちょっとやってみるかなぁ、、、)とかすかな気持がどこからか湧いてきた。

 要するに、「cG」から先をやればいい。特損や投資・調達を+-すればよい。
佐藤くんの言うように、全員が第5表MX表の上でチョイチョイとやれるかどうか、、、。
「開発」となると、マイツール(MT)に限る。
校正の仕事はわきにオイトイテ、さっそくMTを起動。
F↓↓↓     (作表)
ILS↓↓↓   (余白)
DRC↓↓↓   (縦罫)
これで、縦罫で割った6欄のA4の表があっというまに出現。
それに、EC↓で、「cG、特別利益、火災、製造ミス、盗難、得意先倒産、納税、、、、」と順次入れて行く。
こういった作業は、98年9月ごろから、もう2年もやってきたことなので、水が流れるようにスイスイ進む。
そこにMG第一期のデータを入れて、「ACM」(累積計算)↓で右隣に残高累計を出してみると、一番下の数字は「137」で、
C2   -    C1  =     CC
(次くりキャッシュ)(前くりキャッシュ)(キャッシュ増分137)
とピッタリ合う!!

 要は、「ACM」(accumulate、累計を求める)のコマンド一発でやりたいから、数学式に、入金はプラス、出金はマイナスで入れなければならない。
現行の第6表Bが「投資CF」をプラス表現している点について、小川会計の田辺さんから異論が出ていたが、今回の改変は、歓迎されるだろう。
一表が出来たところで、下に「C2、C1、CC」を記入する3行を設けたところ、そこの右まで余計なACMをするので困った。(>_<;;

次に、MX会計表との対比から、材料売却による入金を1行だけ営業CFのところに加えてみたが、これは「cG」の算出過程で、すでに原価計算のところに含まれているようでもある。
続いて、「cG」からスタートするのでなく、間接法の公式「G+F5-ZZ-SS」を利用して、「G」からスタートの形に直してみる。これもなかなか調子が良い。

 Gからスタートするのだったら、、、とここで小川湧三先生の「中小企業の経営計画は、資金計画(cash flow)まで含めるべきだ」との言葉がまたしても閃き、よしそれならと「PQ」から始める。
一瞬、P、V、M、Qからのスタートも考えたのだが、それを入れると、ACM↓がおかしくなる。 おかしくならないためには、「PQ、VQ、MQ、F、G」から行けばよい。一二度トライしてみると、MQとGを入れるとおかしくなる。結局、PQ、VQ、F、F5、-ZZ、-SSで、直接法と間接法を折衷したような表現になった。
VQ、Fをマイナス表現すると、右側のシグマ(累計計算)のところにMQとGが現れる。これは、なかなか面白い。
この形で、岡野太一くん(明治学院大)の複雑なMX決算も、ACM↓の結果と、C2-C1=CCの結果がバッチリ合致した。(材料売りは、やはり原価計算のほうに含まれていた。)

 仕上がった作品をさっそく、吉原・清水・上の開発三人組にメールで送る。
すぐに、清水信博氏から、反応があった。
「ありがとうございます。これ、面白いですね。
ますます簡単にキャッシュフローが出ますね。(^^;)
オートも作りましたので、お送りいたします。」

有難い。このオートこそ、今の私に一番の贈り物だ。

上さんからは、
「新simulationのFAXとメール、拝受しました。早速、走らせてみました。
大型投資をして、なおかつ火災や得意先倒産に遭ったMX表がなくて、サンプルとしては、もの足りませんが、パッと出るのがいいです。ありがとうございました。」
ご自分の過去のデータを即入力simulateして、メールバックしてくれるところが嬉しい。

吉原氏からは、二つ来た。
一つは、
「ありがとうございます。ACMドンで、資金の動きがよく見えるところが凄いですね。とっても面白いです。
数社分を比較して見ることも出来ますね。」
もう一つは、
「ファックス頂戴しました。ACMで、次々に見えるのが良いと思います。
符号を付け損ないやすいので、一寸悪戯してみました。
横に追加して、列を増やしても大丈夫です。(2列セットで)」

思えば、1998年9月、キャッシュフローの問題にチャレンジして、以来、迂余曲折をへながら、99年5月に「cF発見」(??)のポケコンプログラムが出来、続いて、第5表MX表に、CF表を付加することが出来た。
99年7月末には、北海道MG終了直後、星空で有名な芦別温泉に泊まったときに、発生主義・現金主義左右対照型、現在の「第6表B」のイメージがひらめいた。
あれから一年、本を出すぎりぎりのときに、佐藤氏の一言が引き金となって、今また、ACM一発、単純素朴型のCF計算表を完成することが出来た。
ここにいちいちお名前を挙げないが、ここまでくるまでに実に多くの方々からご助力とご助言を得た。
特に火を付けていただいた川崎市の小川会計小川湧三先生、89年にすでにCF-STRACを考案していた名古屋の横田真氏のお二人には、格段の感謝の意を表さなければならない。

(KK西研究所・所長 西 順一郎)