1月17-18日の両日、日光市郊外の霧降高原・メルモンテ日光霧降で、上沢商店主催、第一回日光公開MGが開催されました。参加者27名、うち社外者 4名。(このために、年間364日営業の上沢梅太郎商店が、二日間休業したそ うです。)
この会社は、すでに過去二年、四回「レディースMG」を実施していましたが、 女性だけではもったいない、片手落ち、という上沢卓哉・りえご夫妻のお考えか ら、今回製造側も入れて、全社MGにようやくこぎ着けたものです。
それだけに、上沢ご夫妻の思い入れも強くて、我々西研側としても、絶対に成 功させてあげなければならない気持が強くありました。
会場は申し分ありません。この「メルモンテ日光霧降」という施設は、郵政省 関係の保養施設で、立地も、構造も、食事も、温泉も良いのです。但し、会議室 は、窓こそあるものの、ちょうど真ん中に、凸状に突き出しがあるという、妙な 設計になっていました。
さて、今回のメンバーは、全体としては経験者が圧倒的に多いとはいえ、三四 名の超初心者がおられ、我々の重点は、この四名の方をいかにノセルかにかかっ ていました。
それでも、全員の雰囲気、オーラがとても良かったので、研修は順調に進みま した。

初期設定は何でも難しい

最後の講義です。
私は私で、今年になって年が明けるとすぐ、他の会社でMGがあり、そこであ る問題が一つ頭にのしかかっていたので、どうしてもそのことをしゃべりたいと いう気持が強くありました。
しかし、それをしゃべるには、今回のメンバーは、初心者過ぎます。対象がジ ュニア過ぎます。どうしようかな、と迷いましたが、一方で、理解力のある、優 秀なメンバーもおられたので、思い切って、そのテーマでしゃべってみることに しました。
テーマは「初期設定は難しい」です。

つい最近、1/11に西研に相壁朝子さんを招いて、受講者はたった二人で、 「i-mode教室」をやっていただきました。
その際、どうしたわけか、僕のマシンだけが、暗証番号の登録がうまく行かな いのです。朝1030に始まってすぐの立ち上がりにつまづいたわけで、前に進 まなくなり、僕も、もう一人の参加者の上沢さんも、困ってしまいました。とこ ろが、相壁さんは、諦めないのです。さんざん、業者に電話したり、何回も試し たりで、ついに成功させてしまいました。
初期設定--。最初に繋ぐ、導通するまでが、大変なのです。
思い起こせば、95年4月末の、ニフティー接続のときも大変でした。JTに 持っていっても分からず、どうしてもやらなければいけなかったので、当時平塚 の文具屋さんにいた中島マヒマヒさんのところへ駆けつけて、ようやく設定して もらったのです。
インターネットもなかなか最初が大変です。正直いって、まだ私は分かってい ません。繋がってしまえば、なれてしまえば簡単なのでしょうが、これがなかな かホイホイといかない。
i-modeもやっぱりそうか、と思ったのですが、それがちょうど抱えてい た、ある会社の企業革命と同じだ、と思い至ったのです。

企業革命にも初期設定がある

ある会社を良くするには、わりあい簡単で、まずMGをやり、ある 程度やったらマイツールを全員に導入し、最後にOA大会なり、メールなりを導入 すれば良いのです。
ところが、この会社の場合は、MGはともかくとして、次のマイツールが、ど うもうまく入らないかも知れない。入らないと、ことは簡単ではなくなります。 MG→MT→OA大会という「全員経営、勝利の方程式」の一角が崩れてしまう からです。
手短かにいえば、昭和60年ごろの有名な「HIDE四社」、94-95年ご ろの「HISA四社」、最近の「トラウリ四社」(トンボ繊維、ライフデザイン、 上沢商店、リバーストン)、どれを取っても、MG/MT/メールの組み合わせ がうまく行っているのです。
最初の博進堂印刷のときは、清水信博さんが電算室長で、成否の鍵をにぎって いましたが、幸い彼がリコモンだったので、すべてうまく行きました。  次の浜勝のときも、幸い子会社だったので、行動の自由があり、スムーズにマ イツールが90台も入って行きました。
姫路の近くの一宮精工の場合も、マイツールからメール、LANに至るまで、 理想的にうまく進みました。最近は、OA大会でも、なかなかの成果を挙げてい るようです。

一人が会社の命運を左右する

そういうなかで、あるとき九州の大手中小企業から、私に「MGで企業革命を やりたい」という話が持ち込まれました。
この会社の場合は、一二度MGをやりましたが、そこの電算関係者が東京・E COSで行なった「マイツール経営教室」に出席したあと、「あんなものは表計 算で十分」と帰ってから創業者に報告したらしく、その時点で、この会社は、残 念ながら、企業革命の道を放棄することになりました。

西式企業革命とは、MG/MT/メールなり、MG/MT/OA大会なりを大 きく「小林イズム」が覆っています。いわゆる「Y理論、全員経営」です。ソニ ー式です。主体性が大事なのです。私使う人、あなた使われる人、人を信じない でなく、「みんなで ニコニコ 銭儲け」(上沢卓哉)なのです。
人に命令されるのでなく、自分で考え、自分で実行し、自分で反省する。そう いう人間本来のあり方を、企業の中に持ち込みたいのです。
自ら経営が分かり、かつマイツールで一人一人が見事な事実ベースの仕事を効 率良くこなし、自由だからこそ、軌道の修正も「軽い強制」のもとでやりたい、 それがOA大会です。
メールは、「電子会議室」PATIOで、自由な情報による管理を進めたいわ けです。これらは、すべて、「凄い、易しい、安い」でなければなりません。
したがって、西式企業革命の初期設定は、MG/MT/メールの三つ、ないし 小林イズムのY理論/全員経営の思想をまるごと導入することです。「これはい いが、これは駄目」では、成功しないわけです。

MG/MTは一体である

特に、「MG/MTは一体」です。
残念かどうか、MGをやっていても、「表計算」で良くなった会社は、一社も ないのです。逆に表計算の悪さは、某出版あたりからも、指摘されていることで す。データが蓄積されて行かないYOです。
以上のようなことを、30-40分で、上沢商店の純真な皆さんの前でしゃべ ったのですが、優秀な方々は、皆さん分かって頂けました。初心者の方々は仕方 がありません。まだ「西語」を知らないのですから。
終わって、感想文を読んだときに、私はびっくりしました。地元の高校を卒業 して、まだ一年になるかならないハイティーンの女の子が、次のような立派な受 け取り方をしたのです。

「講義を聞いて、たしかに初期設定は難しいと思いました。何をするにも初めが 肝心です。それを最初からやめてしまうことは、初期設定を放棄してしまうこと になります。それでは、何も得ることが出来ません。何を始めるにしても、最初 は分からないので、つまらないと思うこともあります。けれど、それを乗り越え て行かないといけないですよね。このことは自分にも言えるので、しっかり心に たたき込んで行きます。」(石岡美和、19才、MG20期)

 

(KK西研究所・所長 西 順一郎)