博多MGの感想文集から

  九州一月大雪あとの1/27-28は博多MGだった。最終講義に「マトリックス会計の記入作成実習」を入れてみたところ、望外の好評。これに気をよくして、二月あたまの長崎MGでも、同じことをしてみた。ここでもまったく同じような反応だった。下記は、博多のときの感想文--。「通常の簿記もマトリックス会計で出来るということに驚きました。」(福岡市・浦田一延氏)

「今回、あらためてMX会計の凄さを感じました。MGは製造業だから小売業では使いづらいであろうと思いましたが、今回の講義はまさに目からウロコ!! 絶対、『夢の会計』を現実化できるように、もっとMGにがんばります。マトリックス会計はやはり期数が大事でしょうから、今回の講義のような練習問題をドンドンやりたいです。」(壱岐・市山英誉氏)

「企業会計の話がたいへん勉強になりました。西先生の歴史を感じさせていただきました。国会もMGを勉強し、日本の財政の実態を把握運営してほしいです。」(福岡市・本田崇氏)

長崎でも似たような感想文がたくさん寄せられたが、たとえば次のものは、プロの目から見た場合である。

「簿記の仕訳をMX表でやらせる実践形式は、意外に早くでき、とっても新鮮な講義内容でした。MX会計表への理解も深めていくことが出来るので、皆さんにとっても良いと思います。特に売掛・買掛の落とし込みが自然に出来ているのはさすがです。」(浜松市・佐藤雅栄氏)

MX会計の開発

  私がMX会計を開発したのは、昭和51年(1976)冬から春にかけてで、MG開発と同時併行だった。MX会計を開発しないことには、MGをやっても、そのあと企業会計原則・原価計算基準・正規の簿記の原則で決算するという大原則が果たされない。たしかに、右左会計でも、会計恒等式のパターンを使えば(日本地図ともいう)たやすく決算はできる。しかし、MX会計(当時は「行列簿記」と言われていた)を使うほうがはるかに高次元だし、合理的で、しかも将来性や発展性がある。(将来は、行列数学を使って、私の開発したMX会計表をベースに、さまざまな分析や将来予測をやる人が出てくるハズである。)

ということで、MG決算用にも必要だが、MGを超えて、実社会用を視野に置きながら開発した。そのため、有価証券報告書などを買ってきて、実際が表現できるかもテストしながら作った。

もう一つ貸行借列か、借行貸列かの問題もあった。これは、MG用を貸行借列、筆者が当時いたC社のものを借行貸列で作ってもらって、どちらが見やすいかを検証しようとした。結果は同等であり差はなかったので、越村信三郎博士の言われる「国連の投入産出分析に合わせておいたほうがいい」というご意見に合わせて今に至っている。

ワルツの前に「仕訳」あり

  さて、この練習問題(出典=後藤弘著『新版・ビジネスマンのための会計学教科書』日本能率協会、1979年より)の評判がなぜいいかというと、MGと違って「仕訳作業」が入るからだろう。さらに、その仕訳に、売掛金・買掛金が入っているところがMGと違うからだと思われる。ふだんMGしかやったことのない人は、機械的に「第一表資金繰り表」の結果を入金出金の列と行に記入させられる。あとはまた機械的に「ワルツ」を踊らされる。そのへんの理屈は、いずれ期数を重ねるうちに理解できるはずだが、、。

これが、「手書き」でマトリックスを作ったり、あるいは「マイツール/マトリックス会計ソフト」を走らせるとなると、どの欄にどんな数字が来るべきか、この仕訳はどのセルに記入すればどんなP/L、B/Sにつながるのかが分かっていなければならない。

「仕訳」は、マイツール/MX会計でも在来の右左会計と同じく左方/右方(借方/貸方)で記入するので、MGをやる人には、100期までのうちに、簿記3級の取得をお勧めしている。

この仕訳作業は、どの欄(セル)に書くかで結果ががらりと変わってくるので、けっこうスリリングで面白い。

TMで展開するとなると、事情はまた少し異なる。何百行かのデータをソート/TCで整理・合計し、その合計額をマトリックス会計のコードに変換して、一挙にTMでマトリックスに展開する。その結果が、思わぬ箇所に変なデータが出てきたり、逆に出てほしい箇所に出てこない場合がある。考えられるエラーは二種類。仕訳間違いか、MX変換コード間違いかである。

マトリックス会計の良いところ、凄いところは、素人でも仕訳が考えられることである。右左会計と違って、つねに全体の中の部分を考えるから、正しい答えが出せるのである。

練習問題のときは、正しいセルの箇所に、一センチほどの丸を書いてもらい、その中に金額を記入していく。売掛金があるから回収があり、買掛金があるから決済がある。そのへんがMGマンには新鮮なようだ。

マトリックス会計五つの利点

① 全体性および一覧性西研の場合は、A4に縦横27*27行列でやっているが、項目名を我が社固有にしてあるため、我が社の現状や問題点がたいへんよく分かる。たとえば、売掛金の回収状況や、短期借入金の累積状況がよく分かるので、すばやく手が打つことが出来る。今月の買掛金発生を見て、来月の支払額を決めている企業がある。

② 勘定間の相関性がわかる。

これは、MGで説明したほうが早いが、借入金があるのに返済がない、金利がおかしい、人数と労務費・人件費の相関がおかしい、原価計算がおかしいなどが、一目で発見できる。右左会計ではそうは行かない。

③ 異常な仕訳は一発で発見

かつて、私がC社にいたとき、営業外費用のところにたしか15万ぐらいの数字が出ていた。めったに出ないところに出ていたので、「これは何?」と経理の女性社員に聞いたところ、なかなか教えてくれない。ようやく言ってくれたのが、私の原因による営業外損失とのことだった。

これは営業外ではなく、実は研究開発費だというのが私の見解だった。そのように、めったに出ないものは、たとえ1万円でも5000円でも即見つかるのである。

④ 素人への会計の解放

MGをある程度やりこんだ人は、突然経理にまわされても抵抗なく理解できる。マトリックス会計は素人にも分かりやすい。その学習法としては、MGを20期ほどやるのが一番早い。

⑤ 安全経営・戦略経営

MX会計は全社のことが手のひらに乗せたようによく分かるので、バランス経営に抜群である。二枚のB/S、一枚のP/L、一枚のC/S(キャッシュフロー計算書)などが見事なつながりで一表に融合している。巨視的な視座で、全体のバランスを見、戦略方向へ組織をリードしていくことが出来る。15世紀に北イタリアで始まったという右左会計が、このMX会計を得ることにより、また一段と大きく羽ばたき、飛翔することになるのである。

(KK西研究所・所長 西 順一郎)