ある講演会で

最近、ある講演と某所MGとを相次いで頼まれて、それぞれの参加者名簿を貰ったが、双方ともいささかショックを受けたので、書いてみたい。

三月半ば、私としてはまことに珍しく講演の依頼を受け、張り切っていろいろと準備をした。メンバーは20人あまり。

講演にしても、MGにしても、参加者が肝心で、「誰に」話すのかで、当方の出方も変わる。変えるべきだ。常に相手中心主義。相手によって、相手のニーズに合わせて、当方が対応するのでなければ意味ない。こちらが先に出方を決めて、相手は誰が来ようと同じ、というのではたいした効果は期待できない。

私がどうしてもパワーポイントを使う気になれない理由の一つはそこらへんにあるように思われる。OHPだったら、好きに書けるし、好きに出し順を変えられるのでまだ救いようがある。(昔のスライドには強烈な抵抗があった。)

MGの初期のころには、箱根のFX社の講演会で見てきたOHPの利用を盛んにやったものだが、今はOHPは使っていない。やはり何ともワンパターンになるのが嫌なのだ。

たえず相手の顔を見て、どんな人が来ているのかで、レベル・内容・表現を毎回変えて対応したい。とすれば板書に限る。(板書を使わないのでは相手に対する伝達効率がガクンと落ちる。)

ソートがなければ表ではない

ということで、その「講演」のときも、まず(参加者の名簿はもらえるかな?)と思って会場に行ってみたら、幸い貰うことができた。したがって大いに力を得たが、この「名簿」が、いくつかの点でショッキングであった。

何と言っても、郵便番号順にソートされていない。たぶん、申し込み順・受付順に記入していったのだろうが、ソートされてないものは「名簿」ではない。表でさえない。ソートとは「整理」である。(原義は「分類」)

名簿の場合、郵便番号でソートするのが一番アタマに入りやすい。というのは、地域別、ローカル別、会社別に集まるからである。ああなるほど、この会社からは何人来ているんだということが、即理解できる。

この講演会の名簿にしても、もう一つの某所MGの名簿にしても、どちらも共通点は某有名表計算ソフトで作られている点である。表計算ということは、ソートを前提にしていない。表計算というものは、単に表の形になっているだけだ。

二次元表は、最低限の力は持っているが、たとえばワープロソフトで作られた名簿は最低だ。例のチョンチョン(〃)という同上マークが付けられているか、普通はまったく空白で「上に同じ」という意味を持たされている。

名前は5文字

この「名前は5文字」というのは、80年代初めに私が「PIPS/マイツール経営教室」を始めたときに創出したものだ。日本人の名前は、ごく例外をのぞいて99%以上が5文字の中に入る。まれに佐々木小次郎とか、佐々木真知子などのように5文字からはみ出してしまう人があるが、これはごく少数で、まず九割九分九厘近くが5文字の中に入る。

そこで私が考えたのが「名前は5文字」。姓のアタマと名のシッポを揃えて名前のコラムを美的に表現しようというものだ。たしかにその後、ワープロに「均等配列」などが現れたが、あれはいらない。たしかに経理の費目表現などには悪くないが、必要不可欠でもない。

この「名前は5文字」というのは”西流”なので、世の中一般の常識ではない。常識としては、「一文字あけ」が主流のようだ。その証拠に、冒頭に書いた今回の2枚の名簿も、申し合わせたように「一文字あけ」で出来ている。しかしこれはキレイでない。私は美的に行きたい。とするとどうしても「名前は5文字」に直したい。

マイツールの力

こういうとき、マイツールはまことに強力・便利で、戴いたエクセル表をMTにMペイストし、CFPドンの4桁ドンでまず「姓」だけを分離する。次に「名」のほうをSRドンして、CFで6桁(全角3文字)に直し、再びCFPドンの合体ドンで1欄にしてしまえば、これで見事に名前は5文字に一変する。

あとは、順番が気に食わないから、もし郵便番号があればその順番に直す。(なければ、電話番号ソートでもよい。)そうすると、美しくまた一目瞭然、どこから来たかが分かる戦略的な名簿に生まれ変わる。

以上、まとめると、

  1. 名簿はマイツールで作ること。
  2. 名前は5文字。
  3. 住所は郵便番号でソート。

この3条件が守れれば、見事に有用な仕事が出来たことになる。
しかし世の中の常識は、

  1. まずエクセル。
  2. 名前は一字あけ。
  3. 住所はメチャクチャの受付順、思いつき順、である。

一事が万事、これでは「金儲け」には程遠いと思われるのだが、、、。
(なお、出欠は○×でなく、「1」を書いてトータル・ドンをすること。また必ずナンバリングを付けることをお忘れなく。)

(KK西研究所・所長 西 順一郎)