12/22・・・初めてのVファイル

  12/21~23(土日祭)、東京大井町のきゅりあんで、昨年に続き「年末セミナー」を開催した。昨年は第一回TOCセミナーだったが、今回は西研はじまって以来の「マイツール・シニアコース」だった。最初の二日間は「逆引き辞典」で有名な佐藤マサヒデさんと、ウインドウズとの相互乗り入れで有名な福田となり道さんの夢の顔合わせ。最終日は、TOCで今をときめく清水nobさんの「TOCプラスマイツール」。

年末にもかかわらず、そうそうたる面々が十数人集まった。マサヒデさんは、西研基礎講座の上を行くTMとMTLによるデータの持ち方・切り方・直し方。こちらの方は、私が滅多にTMをやらない関係で、MTLの利用にも鈍感なところがある。

一方、福田正道氏の方は、レベルが高すぎて、これまでにも何回か受けてはいるのだが、何を言っているのか、チンプンカンプンのところがあった。ところが、今回は違った。やはり時間が1時間コースでなく、一日ゆったりあったからだろうか。

マサヒデ講座も正道講座もどちらもそんなに難しくなく、何とかついていけた。
特に、正道さんのV型ファイル・X型ファイルについては、(これは自分でも使えるところがある)と直感したので、何とか実行しようと決心して、終了間際に彼の席に行き、一対一で個人的にマトリックス会計への適用法を聞いてみた。

V型はサブファイル

  今回の彼のV型ファイルの説明は、単にこれまでのふつうのF型固定ファイルとは別に、V型を何に使うのか? スーパーサブファイルとして使えばいいというものだった。サブファイルそのものなら、誰だって、普段に使っているふつうの概念である。
私ももちろん「S11」とか「S22」などをしょっちゅう雑用紙がわりに使っている。

Vファイルは、大量のデータのサブファイルに良い、ということだったので、私としては、その用途だと、「マトリックス会計」がまさにそれだ。

私のマトリックスのオートは、A1~20がデータ、A51~55、A61~65がデータのソート・TC。プログラムがA91~93、最終アウトプットは100ページにしている。

まず借方ソートの結果をS1から数ページに書く。それのTCがA51~55。次に貸方ソートを再びS1から数ページ書き、そのTC結果をA61~65に書く。この「S1から数ページ」というところこそ、Vファイルに最適の箇所だ。かつ、A51-55、A61-65というところも、V型に向いている。

12/24

  年末セミナーの翌日から三日間は、仙台でN社幹部17名の「MGシニア」になっていた。シニアの初日は、夕方までヒマである。その間、佳恵NOANOAがMG三期の解説や進行をしている。私はその間を利用して、昨日まで習った「V型ファイルによるマトリックス・プログラムの改善」に取りかかった。

□ 13時09分

  まず在来のプログラムを紙に出す。
私のマトリックス決算プログラムは、「MG」の第一表と第五表から来ている。
●プログラム1「SORT」は、いわば第一表を作るもの。
●プログラム3「MMC」は、有名な第五表のワルツ。
●プログラム2「MMM」は、1と3をつなぐものだ。財務会計のコードを25
*25のマトリックス会計のコードに翻訳する。その辞書を持っている。さて、どこを何というファイル名に置き換えようか?
●MX1   年間全データ
●MX2   借方ソート
●MX22  借方合計
●MX3   貸方ソート
●MX33  貸方合計

あと、従来は月ごとにフロッピーを1枚ずつ割り当てていたのだが、V型ファイル版では、ぜひとも年間決算をやりたいので、それ用に、プログラムを何カ所か、4ページから6ページに拡張することにした。最後の「マトリックス・ワルツ」のオートは、変更不要だ。

□ 14:32

  まず改変に着手する前に、第1月のマトリックス会計表を「控え」としてアウトプットした。

□ 15:34

  上記Vファイルを五個つくり、プログラム1を書き換え始めた。

□ 16:02

  走らせてみた。一応うまく走るが、どうもデータがおかしい。完璧でない。考えてみると、途中、MMCに行く前のところで、実際は3ページ書いているのに、2ページしか読みとっていない箇所がある。ついでに、原始データA1~20の「MX2」への読みとりを自動化しよう。

ここまでやったところで、この日のプログラム修正作業は、研修の時間が来たため、時間切れとなった。

12月27日 16:10

  仙台シニア三日間が終わった。翌日から、我が家で継続だ。この日は午前中別の用事があり、プログラムは夕刻からとなった。上記のシステムで、MX2に年間全データを取り込んで、走らせてみると、だいぶおかしい。まず、売上戻り(▲PQ)がない! これはデータがオーバーフローして、3ページ分あるのに、前の2ページしか読んでないからだ。これを直す。

□ 17:41

  売上戻りは出たが、今度は「株式の雑収入」がマトリックス上に載っていない。
そのために、次繰りがおかしい。これは「辞書」の問題だ。旧い辞書を使っているからこうなる。早急に辞書を直す。

□ 18:42

  株式取得は出た。だが、まだ定期預金の受取利息が出ない。このへんは、辞書上、左右の+/-が難しい箇所なのだ。

□ 18:59

  ようやく受取利息も、所定の場所にちゃんと出るようになった。ほぼ完成。全体の数字も正解のようだ。今度は、今まで気にしていなかった「株式売却損」がF3(営業外損失)に出ているのが、よく考えてみると気にくわない。株式の取得とか売却とかは我が社では滅多にあることではないので、特別損益の部に出ることが望ましい。
よし、これはシステムの欠陥ではないが、ついでに「辞書」を変更して、株式売却損は特損に変更してしまえ。

□ 21:16

  ついに、上記の変更も完了。長い間宿題になっていた「年間決算」も、苦もなく出るようになった。
フロッピーごとに月次決算を積み上げていくと、四捨五入のいたずらで、年間12回もやると、科目によっては数万円の誤差になる場合がある。ところが、今回のように、12枚分をワンストロークで計算すると、四捨五入は一回だけとなり、正確な数字となることが分かった。考えてみると、今回のシステム変更で、以前考えたことのある「累計決算」もなんら問題なく片づくことが分かった。脱フロッピーのおかげである。

12/28 10:07

  昨日に続き、受取利息や支払利息の辞書の作りを点検して、正確に出るのを確かめる。オーケーだ。

□ 11:27

  いよいよ「新プログラム」の完成。こうして、12/24午後から取りかかったシステム改造(Vファイルの採用)は、足かけ四日間で終了した。
初めてVファイルを使うことで、R:MX22:は駄目、RC:MX22::はオーケーということも学んだ。なお、この後、MX2やMX22のデータの並びが、これまでは日付順一発だったので「年」や「月」がメチャクチャだったのを、年月日順にキレイに並べ替えようとしたところ、何度やっても「MX2というコマンドはありません!」というエラーが出て、そこでストップするので、大いに困った。「TRON」(トレースオン)で、珍しく五段ソートをフルに使ったためだということに気がついて、ようやく解決という一幕もあった。

振り返れば、昭和58年(1983)一月のPIPS以来20年間ひたすらやってきたフロッピーベースの決算システムが、いまごろようやくVファイルの利用によって一段あがった。火をつけてくれた「マイツール・シニアコース」そして福田正道氏にあらためて感謝したい。

最終的に出来上がったものは、「原始データ・辞書・プログラム」はこれまで通りフロッピーで持ち、途中をHDD内のVファイルで持ち、「最終アウトプット」は再びフロッピーに戻すという折衷システムになった。これで完全HDDシステムよりも安全だ。本体がクラッシュしても、FDはダメージを受けない。
(もうひとつ、私はs30と1800の二刀流なので、FDの方が助かる。)

しかし、今考えるとせめて「辞書」だけは本体内にあった方が、修正したときに便利なようだ。よし、今からそこを直そう!

【 となり道さんからの一口コメント 】

  V型ファイルの概念は、マイツールのノート感覚を拡張して、ちょうど常に必要なページのみを用意したルーズリーフのようなものでしょうか。その便利さは判ったとしても、使い慣れない内は誤って中身のページをばっさり落とす(消す)こともあり、その恐怖もあってか、V型ファイルは使えないと思い込まれている方が多いのです。

そこで、まず慣れることから入る、つまり行入としてスーパーサブページの活用を提案させていただいている訳です。

図らずも今回スーパーサブの応用としてMX会計への展開をしていただき感謝しています。

つまり、私の言いたかったことはV型ファイルを単にスーパーサブとしての使用のみならず、実務での応用をしていただきたかったからです。

数多あるビジネスソフトの中で、今もマイツールが優位にあるとすれば、それは誰もが容易に使えるデータベースとしての利用ではないかと思います。
そしてV型ファイルを使うことで、既存のページ概念の枠を大幅に超えて、真にデータベースとしての活用の道が開かれます。

故にV型ファイルの利用こそが今もマイツールを最強のビジネスツールとしての価値を生み出す可能性を秘めていると言えるのではないでしょうか。

私の言わんとしたことをここに一杯盛り込んでいただけて、ありがたく思っています。

gaa00724@nifty.com となり道 / 福田 正道

(KK西研究所・所長 西 順一郎)