ネオ一眼

 二ヶ月ほど前にNHKでデジカメによる動物園の撮影指導を見たとき、インストラクターの先生のカメラは10倍ズーム、高倍率ズームのデジカメだった。私は、これまでずっとコンパクトデジカメに集中してきていたので、そろそろそのような高倍率ズームがほしいなと思い始めた。

高倍率ズームはほしいけれども、重いカメラはほしくない。何しろ、現在使っているキャノンのS60が230グラムと言うのでさえ、やや重いなと言う感じで、持ち歩くのが億劫なときがある。

そこで、今回も軽くて、高倍率で、値段は4万円台というのを探すことにした。何回となく「価格コム」や「ヨドカメ」のHPで徹底的に調べ、比較し、候補を絞り込んでいった。

評論を信じない

今月になって、第一候補の某社の○5というのは、実際に現物を見、ついでに焼いてもらうことが出来たので「アウト」となった。色が悪い。キャノンの色や、富士の色を好む僕としては、薄くて黄色い写真はまず敬遠だ。

最終的に候補に残ったのは、ソニーとキャノンと富士。このうち、ソニーはメモリースティックだからちょっと、、。富士もxDという特殊なメモリーだから、愛用のキャノンの900PDプリンターに合いそうもないと、泣き泣き敬遠。結局、キャノンファンの僕としては、あまりデザインは好きではないが、無難ということで、パワーショットの「S2-IS」という機械に決めた。

これを持って、近くの勝島運河に試写に行くと、思ったより撮りやすくて、びっくり。気が付いたら、あっという間に30枚も撮ってしまっていた。これまでにない望遠効果の利いたアップの写真が、いくらでも簡単に撮れる。

それにしても、、。どうしても富士の「S5200」が気になる。ちょうど一週間後の同じ木曜日に、再び大好きな秋葉原ヨドカメに走っていって、問題のS5200も買ってしまった。

比較

その富士のS5200を持って、夕方近く、すぐ近くの東大井公園に試写に行く。何を撮ろうか、風景か何かのつもりで行ったら、たまたま子供らが沢山遊んでいた。これは撮りやすい。何しろ、3倍と違って10倍望遠は、相手に気づかれないでいくらでも撮れる。さすがに近くで立ち話をしている二人の若い主婦にレンズを向けることは出来なかったが、子供だけならいくらでも。

持ち帰って、プリンターを取り出し、「xD」をCF型アタッチメントに差し込んでプリンターに入れると、何の苦もなく、すいすいと印刷できた。その中の一枚、逆光に浮かぶ兄妹の写真は、二人の髪の毛がA4の印画紙に細く繊細に印刷されて、偶然の傑作となった。

「S5200」は、キャノンと違い、デザインが良い。しかもびっくりするほど軽い。グリップ感もぴったりで、まさに手になじむ。ただし、とっさの時に撮りやすいかというと、それはキャノンの方が上のようだ。まだよく慣れたとは言えないので、これからしばらく両方を使い込んで、比較して行きたいと思う。

なお、写真そのものとしては、コンパクトデジカメの「S60」のほうがきりっとしている気もする。一長一短、帯に短し、、か?

ついでに秋葉原で話題のデジイチにも触ってみたが、ここはあくまで「4万円台」という経済性を最優先にすることにして、それでもこれだけのことが出来るという点を追求することにした。さて11/02-06の石垣島にはどちらを持っていこうか?

結論

石垣には富士のS5200だけを持っていった。楽しかった。スタイルがいいし、手触りもとてもいいので、撮影の醍醐味がある。不思議なほど軽量だし。

川平湾・玉取崎・ビーチ・プール・マングローブ・蝶々といろいろ撮ってみたが、我が家に帰って普通のL版に60枚ほど焼いてみると、室内のフラッシュなしがちょっと黄色っぽいのが気になる。

屋外では問題ない。A4に伸ばすとなかなかきれいだ。しいて言えば、やや薄っぺらな感じがしないでもない。

確認のため、11/09(水)に、今度はキャノンを持って、高尾山へ行ってみた。そこで微妙な山や光や逆光を撮ってきて夜伸ばしてみたら、やはりあれが「DIGICⅡ」効果というのか、自然さが違う。豊かさ・奥深さが違う。

ということで、スタイルの富士、画質のキャノンというのが今回の結論であった。(なお、本稿完成後、11/20に『デジタルCAPA』が出て、そこにはオリンパスの500UZが軽いし良いと書いてある。一瞬びっくりしたが、手ぶれ防止がないというので、一安心。手ぶれ防止はないと駄目。)

(KK西研究所・所長 西 順一郎)