かさと腕時計

 ここに一本のかさがある。このかさが私の宝物で、そのため、わざわざ名前がセロテープで貼ってあって、コンビニ等で軽く他人に持っていかれないように気を遣っている。特別なかさではない。しかし、この「軽さ」はどうだ! 持ったとたんにびっくりし、かつ満足する。

 毎日腕にはめているたった一個の腕時計。シチズンの安いやつだ。しかしこの時計は、たまたま電波時計であるから、正確この上ない。しかも軽く、しかも安い。水にももぐれる。

実は、この腕時計のひとつ前のやつが気に入っていた。セイコーの第二ブランド、アルバの安いもので、1987年10月に成田でタヒチ行きがけに、免税店で買ったものだ。値段はたしか4200円ぐらい。

この前年、初めての第一回タヒチツアーのとき、モオレアのキアオラ・モオレアで水上スキーに乗った。というより、ぶら下がった。そのとき、20分?のレンタル時間を、防水時計がないもので、10分で上がってきてしまった。何千円と高いのに、大損。それで、一年後の二年目に、成田で、安くてデジタル表示の防水腕時計を探した。

このアルバは、安くて多機能。MGの20分設定も出来れば、ホテルや車中での目覚ましにもなる。ウオーキングの歩数も計れば、ピッピッと拍子も取ってくれる。驚きはその正確さ。1~2ヶ月で1秒狂うかどうか、、。そして「軽い」!

その愛着この上ない時計が1987に買って、18年めの一昨年あたりから、さすがにスイッチが動かないようになった。今はシチズンの若手に譲り、我が家の老人ホームで静養中。

G7について

さて、昨年10月のタヒチには間に合わなかったものの、11月中旬にキャノンのパワーショットのハイエンド機G7が来た。それでも別売りの皮製ケースがなかなか届かなかった。12月にはいってようやくそのケースも来て、すっかり「カメラ」らしくなった。

この皮製ケースに入れると、G7はまことに小さい。重さ320グラムというのはIXYの2倍だが、実際には全く気にならない。365日、リュックの中に常駐している。残念ながら、活用の機会にはまだ恵まれない。

タヒチは絶対八ミリだし、そのあと行った孫とのスキーもやはり八ミリ。お正月の箱根駅伝も、今年は八ミリでバッチリだった。どうしても、動きとなると八ミリだ。

ということで、いつもリュックにはあるのだが、使うことは少ない。しかし、このG7は、使わなくても持っているだけで満足感のある、珍しい機械だ。

小型・軽量・高性能

そうやって、ただ持ち歩いている間に、ふと気がついたことがある。この機械は、かつてソニーが技術革新の旗手だったころの新製品開発の基本ポリシー「小型・軽量・高性能」そのものだ。しかも「安い」。

ソニーの小型・軽量・高性能機は、昔けっこう高かった。秘書のとき、車の中で、盛田副社長に「ソニーは高いのでは?」と言ったら、即座に「ハイ・クオリティー、ハイ・プライス!」とのソニー・ポリシーが打ち返されてきた。

さて、このカメラ、G1~G6までは、小型ではなく、液晶も可変型で、結構大きく重かった。それに何より、初期のものは11万5000円と高かった。それは値段からいっても、私の対象外である。

それが今回は、可変型液晶をやめることで、小さく軽く、安くなった。(発売当初59,800ぐらい)

私は、この機械の前に、キャノンのパワーショットS2-ISという12倍ズームを買ったわけだが、なにしろかさばる。ついに散歩用にIXY800isを買う羽目に。これは165gと小さく軽いので、いつもそれをリュックの底に忍ばせていたが、G7が来てから、その座を譲った。

DVD八ミリの動向

DVD八ミリという言葉はおかしい。八ミリは二昔も三昔も前の規格である。その後DV(デジタルビデオ)に変わった時、たしか6.75ミリに変わったはずだ。しかし誰もそんな風には呼ばなかった。そのころから、シリアルなテープから平面型のディスクに変わるといいなと思っていたが、この変化はそう簡単ではなかった。

まず日立がそれをやって、ようやくソニーもそれに追随した。DVDカメラは最初大きくて重かった。しかし我慢して待っていたら、ついにソニーのDVD505になったときは、それほど大きくもなく、重くもなくなっていた。要するに自分で買って、持ってみたら、さほど大きくてとか重くてとか感じなかった。

これを昨年五月にマウイに持っていって、ミスター・アキノのハワイアンを撮るときには、モノポール(一脚)を忘れたにもかかわらず、長時間ちゃんとホールドできた。さらに思わぬ拾い物は、めっぽう明るかったこと。

その後、ソニーはUX1、ついで今年UX5および7を出してきているが、私は買い換える気は毛頭ない。なぜならどれも重いからだ。

ものは軽いに限る

「小型・軽量」の軽量は、ほんとに大事だと思う。冒頭の腕時計。それから靴。変わったところでは、食卓の椅子。事務所のプリンターでも、まず軽さで選ぶ。最近は、多能機の複合プリンターが全盛のようだが、私は買わない。11キロ内外のプリンターなんて、思っただけでもぞっとする。

私が写真用に使っているプリンターはキャノンのピクサス900D。それでも以前の5キロから6キロに上がっている。その6キロのかさばるプリンターを整理の悪い自分の部屋からうんうん言って持ち出してくるのが気が重くて、ついに最近例の軽便写真焼き小型プリンター「mini260」を買った。

こんなものは、消耗品、つまりランニング・コストが高い。分かっていて買ったのは、やはり数枚の少量印刷なら、そのほうが便利かと思ったからだ。幸い、最近のプリンターはこんなものでも結構画質がよく、家族に見せても気がつかないようだから、まずまずではないか。もちろんはがきサイズまでしか焼けないので、大型プリンターの出番は続く。

ほかにも、重さ・軽さで選んでいる品物は多いだろうが、とりあえず、いまこのコラムを書いているマシンもIBMのB5版シンクパッドX60s、1.2キロだ。これより重いマシンを持つ気は当分ない。

今回このテーマを選んだ理由は、デジカメのG7が小型・軽量・高性能はもちろん、かつ安い。我々が普通に買える値段のものをキャノンが出した驚きからでした。

(KK西研究所・所長 西 順一郎)