地図センターへ行った

 先回(三月号)でも書いたように、今尾恵介氏の本を6冊買って読み進むうちに(財)日本地図センターのことがしばしば出てくる。地図好きの僕としてはいつかは行ってみたい場所だ。

先月、ヨドカメ秋葉に行ったときに、7Fの大きな有隣堂書店に入ってみて驚いた。なんと地図コーナーに、けっこう地形図ほか面白い書籍等がずらり揃っている。わが大井町にある同書店の地図コーナーには、ありふれたアトラスぐらいしか置いてないというのに、、。

そこで、とにかく「地図センター」(国土地理院の販売部らしい)ならいろいろ揃っているだろう、中には面白いものもあるだろう、ということで、一度行こう行こうと思っていた。

4/11(水)はたまたまヒマで、山へ行こうか、どうしようかと思っているうちに昼になってしまったので、とりあえず近くで食事をして、「りんかい線」で渋谷へ行った。

事前にインターネットで調べたところ、なんと半年前に行ったことのあるY社のすぐ近所である。だから今回は迷うことなく、渋谷からR246の下を、一直線に西に向かって歩き、17分で現地に到着できた。

店内

店内は、たしかに地図だらけだが、思ったよりも狭く、1階のみで、たしかに各種各様の地図や書籍類が溢れていた。

今回は、まずは見合いみたいなものなので、とりあえずどんなところか、何があるかを調べに来たわけで、あれを買おう、これをしようという明確な目的対象があるわけではない。

でも、来たからには、何か買わないと損だからと、機関誌の『地図中心』2冊と、書籍1冊、それに大井町周辺の一万分の一を4枚買った。約4000円。

エッ、地図力検定テストだって?

今回のセンター訪問の一番の収穫は、このビルの1階玄関に入ってすぐ、カタログ・パンフレット・赤チップ置き場に、なんと「第7回地図力検定試験が6/10(日)午後行われる、ただいま5/22まで受付中」というのを発見したことである。

つい最近まで、この日本地図センターの存在さえも知らなかったし、いわんや「地図力検定試験」というものがあるなんて、そもそも情報を持たなかった。

今回で第7回というのだが、あとで調べてみると、まだ始まったのが2004年東京、あとは各地持ち回りで、前回が昨2006年秋11/12東京。
過去の情報では、初回こそ受験者は270人と結構いたが、第2回から70(大阪)→60(東京)→50(静岡・福岡)→40(大阪)と回を追うごとに減ってきて、昨年は東京・大阪・札幌の3会場に増やして再び176人と盛り返している。

それにしても思ったより少ない。それもそうだろう。まず地図好きのこの私が知らなかったくらいだから。要は、PRがないのだ。このセンター自体が知られていない。私も、本体の国土地理院だけはよく知っていたが、それ以外は何も知らなかった。

1時間で50問の四択問題。半分とれば三級、七割とれば二級、八割以上は一級だそうだ。96点で地図力博士授与。正直言って、二級は取りたいものだ。でも、昭文社あたりの社員でも最初は一級、二回目は二級だったそうだから、結構厳しいらしい。

自分を知り、多少の体系的勉強をするために、また向上心・知的好奇心を満足させるために、とりあえず日程の合う6/10は受けてみたい。結果は聞かんでください。

国土地理院

さて、お店には、例の今尾さんの本も何冊かあったが、たまたま『ノノさんのぶらぶら地図学』(実業之日本社、2004)という本があったので、買ってきた。なぜかといえば、この野々村邦夫という人は、東大の大学院地理学修士を出て、国土地理院に入り、途中環境庁などを経由して、最後は国土地理院の院長を務めた人で、現在この(財)日本地図センター理事長だそうだ。

実を言うと、私も出来ることならこの畑に入ってみたかった。果たさなかったので、代わりに果たした人の院内体験を読んでみたいわけだ。

で、実際に読んでみると、なかなか面白い。まだ取っ掛かりのところだが、たとえばつくば市の国土地理院隣の「地図と測量の科学館」には、20万分の1の地図を約300面使って、地球の表面のふくらみそのままに、丸いこんもりした直径21mの岡をタイルで作り、日本の端から端までをまるでスペースシャトルから見るように体験できるという(真ん中の高さ=1.86m)。 この白い丸は、グーグル・アースで調べたら、なるほど上空からはっきり見えた。

毎年6月には、国土地理院の公開日もあるというので、今年はいろいろ楽しみの多い年になりそうだ。

なお、今尾さんの『地形図探検隊』(自由国民社、1998)は、「中央構造線(地溝帯)を行く」が迫力があって面白かった。この驚くほど狭くてまっすぐな長い断層線は、前々から一度行ってみたいと思っていた所だったので。

(KK西研究所・所長 西 順一郎)