10年ぶり、秋田シニア

12/10~12(金土日)、秋田県横手市の「ホールサムインよこて」という地域のスパ保養施設で、四卓20人の「秋田MGシニアコース」が10年ぶりに行われた。10年前には、同県湯沢市の「秋田いこいの村」で何回かやったことがあるが、実に久しぶりである。

今回の直接のきっかけは、従来、中央市場専務の千葉均さんが自ら各店の店長・社員たちを毎月3日ずつ3ヶ月にわたり(計9日)MG二日、マイツール一日の基礎講座・特訓講座をやってきたが、最近どんどん店も増える方向にあることもあり、この際同社のOA教育会社「プラティア」を活用しようとして、プ社の女性社員六人をMGのインストラクター要員に育てようという構想から始まった。

三日間のうち、事前に話があって、二日目の昼前1130-1230まで、近くの横手店(新店)での「MIX会議見学」を入れさせてほしいと言う。どうやら石巻のスーパー「あいのや」さんから大挙六人も参加されるので、「この機会にぜひ御社のMIX会議を見たい」との話があったらしい。

ということで、私自身も、これまでたびたび話には聞いていたが、実物は知らない「MIX会議」を見学できることになった。

なるほど新しい横手店に入り、左手の青果市場からバックヤード(売り場以外のスペース)に入っていくと、たいして広くない会議室(戦略室)があって、すでに十人ぐらいの店長以下各売り場担当主任らが顔をそろえて我々を待っている。我々は20人ぐらいだから、この部屋に約30人入ったことになる。

部屋の真ん中の天井にエプソンの小型液晶プロジェクター(これがなかなか良い。マイツールの黒い画面がバッチリ写っている。小型軽量で17万ぐらいの結構安いやつだ。)が吊り下げてあり、それと金沢店長のシンクパッドとがコードでつながれている。

MIX会議

MIX会議とは、「LP」(線形計画法)のプロダクト・ミックスから来たもので、商品ミックス検討会議である。つまり、科学的経営とは、いたずらにPQ最大化を求めるのでなく、MQ最大化を求めたい。(PQ最大化とMQ最大化の間には、商品ミックス上ズレがある!)

MQ最大化を求めるためには、●毎日の、全商品群のQ、M額、MQ総額、m率等を把握して、戦略会計STRAC(つまりMQ会計)により、MQ合計額およびm率を「事前に」把握、追求する。普通の商店・商業施設で、ここまでやっている企業は聞いたことがない。工業でも同じだ。(工業の方がより難しい。全部原価FCがまず邪魔をするからだ。)

(有)中央市場というと、特に日本で知られている有名小売業ではないと思うが、この売り場長会議がやっていることは、STRACとマイツールを使っていて高度に科学的であり、全体と結論を事前に見ているから戦略的であり、かつ全員が意思決定に参画しているから全員経営型でもある。

JIX表

MIX表にも、計画型のMIX表と、実績検討型のJIX表があり、細かいことは分からなかったが、1~9番のカテゴリー別に、各売り場担当が実績や計画値を発表・報告し、金沢店長が、一行ずつ入力していく。(MGで毎期PQとPを報告するのに似ている。)PやVやQを入力していくと、あとはオートで、パッと店全体のPQ額・MQ額・m率が表示される。

これで問題なければ、次へ進むが、到達値が思わしくなければ、シミュレーションに移るのだろう。

これを店長が店長室の中で、独りシンネリむっつりとやっているわけではない。皆と一緒に、みんなの前でやっている。まさに小林茂も泣いて喜ぶ「全員経営」の実体がここにある。

今県内に5店あるという各店のMIX会議を順に日を変えて行なっているということで、千葉さんはぐるぐると各店を回っているわけだ。

真のコンピューターの使い方・・・事前シミュレーション

上記中央市場でやっている「コンピューター利用の科学経営」は、下記のようにまとめることが出来よう。

1.コンピューターでないと出来ない
2.マイツールでないと出来ない
3.STRACでないと出来ない。PQは駄目。
4.ソート活用。
5.二次元相関図(田の字グラフ G:11)活用。縦にP・横にQ

事前シミュレーションの精神は、NASAの月着陸計画・火星着陸計画と同じだ。それの経営版であり、スーパーマーケット版なのだ。

受講者の感想

(株)あいのや 矢口 里志(26) MG88期

シニアコースも二回目でしたが、前回に比べると落ち着いて講義の内容が聞け、理解度も深くなりました。シニアも期数なんだな~と感じました。
以前のシニアではやらなかった「簿記の練習問題」もやっていただいて、マトリックス会計表というのは、一目で会社の内容を理解できる、素晴らしい会計システムだな、とあらためて感じました。

ポケコン入力全員完了には感動しました。あの熱意を仕事にぶつけてMQをアップし、ニコニコできるようにしたい。しかも儲かった利益が再度MGや教育費になれば嬉しいです。

【今後について】 マイツールで、MIX表と、プライスライン調査のグラフ、すぐやります。

参考文献

西順一郎著『戦略会計STRACⅡ』ソーテック社、1982。
西ほか著 『人事屋が書いたCFの本』ソーテック社、2000年。             ■

(KK西研究所・所長 西 順一郎)